窓際のエヴァンゲリオン1−13
家に帰ってテレビをつける。
普段あまりテレビは見ないけど、最近ゲームをする気にならないんだ。
何故だろう。ゲームをするとガキの僕に戻ってしまうからだ。
変わりたいって気持ちが無くなってしまうからだ。
この気持ちは、ず〜っと意識してないと、すぐに忘れてしまう、
すぐ元の自分に戻ってしまう。
本当はテレビも見ずに集中してたほうが変われるんだろうけど・・・
こんなことを考えながらテレビを見ていた。いや、見ちゃいなかった、
眺めてるだけだ。頭の中は綾波さんのことでいっぱいだ。
CMになった。ジュースのCMや日焼け止めのCMで水着の
お姉さんが出てくる。昔は気にならなかったけど、
水着のお姉さんのしぐさ、屈託の無い笑顔、はしゃぎっぷりや
ポーズのつけ方が物凄く眩しく見える。
眩しくて眩しくて、とても気後れしてしまう。
僕はこの眩しさに張り合えるようになれるんだろうか。
窓際のエヴァンゲリオン1−11
次の日は眠たかった。
綾波さんと喋ったことで興奮して1時くらいまで
眠れなかったのと、ヘンな夢を見たせいだ。
けど昨日の夢は気になる。ケンスケ君が・・・?
まさかとは思うけど。
だってケンスケ君はコテコテのオタクだし、そういう、
女子に興味があるそぶりなんて全然無いし。
でも気になるから、昼食のときに思い切ってそれとなく探ってみた。
シンジ「あの窓際のグループ、仲いいよね。」
ケンスケ「ん、ああ、あいつら小学校からの幼なじみらしいからな。」
シンジ「鈴原君関西弁なのに?」
ケンスケ「小学校入ってすぐ大阪に転校したんだよ。で去年帰って来たらしい」
シンジ「なんか明るいよね」
ケンスケ「ハァ?うるせーだけだろ!全くクラスの秩序を乱しやがって!」
・・・大丈夫みたいだ。
窓際のエヴァンゲリオン1−10
その夜、夢を見た。
夏の暑い日、僕はクラスのみんなと海水浴に来ていた。
鈴原君と惣流さん、それと僕でビーチバレーをしようとしていた。
一人足りないので綾波さんを呼んでくるように二人に言われた。
僕は綾波さんがどこにいるか何故かわかってた。
海岸の端っこの岩場の影で、綾波さんは意識を失い倒れていた。
大変だと思い、人口呼吸をしようとしたんだけど、
綾波さんにいつまでたっても近付けない。
同じ場面が何回もリピートされる。早くしないと危ない。
焦っていたが、気がつくと綾波さんはいなくなっていた。
浜辺に帰ると、鈴原君と惣流さんのところに綾波さんは帰ってきてた。
そして何故かケンスケ君もいて、4人でビーチバレーをしてた。
鈴原君は僕に審判してくれと頼み、
惣流さんはその後ジュースを買ってきてと頼んだ。
綾波さんは僕が人口呼吸しようとしたのを知ってるかのようにクスクスと笑った。
綾波さんはケンスケ君と同じチームで、鈴原君たちに快勝し、
二人で凄く盛り上がっていた。
窓際のエヴァンゲリオン1−8
学校出て100mくらいのところ、綾波さんは道の
1番高くなってるところから町並みを見降ろしてた。
思い切って声をかけてみた。
「綾波さん」
・・・気付いてないみたいだ。声が小さかったらしい。
シンジ「あ、綾波さん」
綾波さん「ん?・・・あっ。」
シンジ「手・・・ごめん。」
綾波さん「いや、別にいいけど。」
シンジ「・・・」
綾波さん「・・・」
シンジ「何してるの?」
綾波さん「人待ってる。」
シンジ「そう。・・・また明日。さよなら」
綾波さん「ん。またね。」
綾波さんはわらって控え目に手を振ってくれた。
僕は綾波さんから見えなくなるところまで
歩いて、それからダッシュで帰った。
あ〜、何か今のやりとりヘンに思われたかな〜。
でも初めて綾波さんと喋った。スキップしたい気持ちだった。
明日はもっともっと喋りたい。