三十路作家の脅迫観念の理由


ちょっと前に、ジョージ朝倉さんの話で、
「今回の作品、ジョージさんは鬼気迫るものを感じる。」
「この感じは全盛期の小室哲哉さん、庵野秀明さんに通じるものがある」
と書きました。
ジョージ朝倉さんは今32歳か33歳のはずです。
そして、全盛期の小室さん、庵野さんも35歳かそこらだったはずです。


作家には(35歳最強説)というのがあります。
作家は30代、特に35歳あたりで、とんでもないテンションでその人の
代表作とも呼べるものを作り上げる可能性が高いというものです。


体力的なものもあるでしょうし、20代から作品を作り付けて、30代で油がのると
いうのもあるのかも知れませんが・・・


それだけなんでしょうか?


僕の話なんですが、それまで漠然と考えてきた不安が、27歳になって、
急に生々しい実感を伴いながら襲い掛かってきたんです。


どんな不安かと言うと、
「俺って結婚出来るんだろうか?」
「出来たとして、それまでの人生(過去)を取り戻すことは出来ないんじゃないか?」
「ちゃんと10代の青春やって、ちゃんと20代の人生謳歌して、
ちゃんと結婚出来てる人には何をどうやったってもはや勝てないんじゃないか?」


というものです。この脅迫観念たるや身を焼き尽くすような凄まじいものがあります。


後、自分で言うのもなんですが、僕なりにですが、
最近マジで頑張って仕事やってると思うんです。
そのモチベーションになってるのが、さっきの脅迫観念です。


「もう俺にはここしか無いんだ」
「他の価値観には全て目をつぶり、ここでとにかく勝つしか無いんだ」


という感じです。もちろん、今の会社というものは、そこに絶対的な価値を
見出だすのは非常に困難です。それでもそこにすがるのは、

「他に何も無い」

からです。


恐らく、三十路の作家というものは、皆同じような感じでは無いのかな?と
思います。


予想ですが、小室さんも庵野さんもジョージさんも、
過去に執着せざるを得ない人達なんじゃないかと思います。
過去のある取り返しのつかないことがあり、
過去に戻ってそれをやり直さなければならないのに、
過去には戻れないのでどう考えても諦めざるを得ない。
でも諦めるなど出来るわけが無い、だから、とにかく勝つしかない、
自分で「勝った」と納得できるまで、走り続けるしかないんです。


そういう思いが、小室ムーブメントを起こし、エヴァを作り上げ、
今なお溺れるナイフという漫画をジョージさんに描かせているんだと思えてなりません・・・。


後、多分小室さん、庵野さん、ジョージさんとも、
比較的器用に人生歩ける人達に対する並々ならぬコンプレックスを
持ってるんじゃないか?と思います。
それと自分自身に対するプライドも持ってて、
その二つの折り合いがつかないまま三十路まで来てしまった、というのは想像出来ますよね・・・。