君が望む永遠(水月エンド)/age

3年ほど前に、友人からもらい、プレイしたギャルゲー(君が望む永遠)。
当時ボロ泣きして、次の日会社に行くのが辛かったことを覚えています
(現実に引き戻されるのが本当に辛かった・・・!)。


ちょっとオタクっぽいけど、情に厚く、いざというときに男気を発揮しながらも
煮え切らない主人公、鳴海孝之
姉御肌でサバサバした太陽のような性格の女子、速瀬水月、気の利く男子、平慎二。
引っ込み思案な女子の涼宮遙を交えた高校時代の甘酸っぱい青春ごっこ
だが、高校最後の夏休みに遙が交通事故で意識を失ってから3年後、物語はドロドロの
人間ドラマをつむぎだしていく・・・。


僕的には最初っから水月にぞっこんでした。友達以上恋人未満のむずがゆくなる
ような関係。クラスメイトからも「あんたたち付き合ってるんでしょ?」とか
言われて、二人で「はぁ?」とハモっちゃうような、息のぴったりな孝之、
水月のコンビ・・・。


本当に僕の夢でした。僕が学生の頃も、実際にそういう瞬間がありました。
そんなときはえもいわれぬ幸福な気分になったものです・・・
(ムッツリだからね・・・)。


僕なりに、学生時代は、見苦しくも青春をしようと、それなりに
もがいていたと思っているんです、そういうラブコメ展開は、
僕の人生でもそれなりにあったと思います。


このゲームは、そういうラブコメ関係から発展し、大人になっても彼氏彼女の
関係でいるという、僕の夢を具現化してくれたのですが、当時は本当に脳から
アドレナリンが出まくっていました。


一応メインヒロインは凉宮遙らしいし、事故から3年経って、意識が戻った遙と、
3年間ダラダラと付き合っているうちに情が移ってしまった水月との間で、
どちらを選ぶんだ!とプレイヤーを苦悩させようというのがこのゲームの
趣旨のようですが・・・。


当時、僕には迷いはありませんでした。情が移ってしまった水月と付き合うのが
当たり前のように感じられたからです。後、元々遙に魅力を感じて
いなかったというのもあります。


とにかく(水月水月水月、好きだァァァーッ!!)という思いだけでした。
それだけで突っ走り、ラストで水月とそれまでの悩みも共有しつつも
ゴールインしました。孝之に感情移入していた僕にとっては、
感動の涙が止まらないラストでした。


で、今日3年ぶりにもう一度プレイしてみたんです。やっぱり同じ
展開になったし、やっぱり最後は(水月水月ィィィーッ!)と
感動の涙を流したんですが(笑)、


3年経って、久しぶりにやってみると、遙の気持ちというか、そういうところが
凄く気になるようになっていました。


クラスでも明るい孝之、水月、慎二の三人組に憧れ、そこの末席に混じりながらも、
一人だけ取り残され、一人で生きていかざるを得なかった遙。容赦ない現実に一人
で立ち向かいながらも、あの頃の4人組に憧れ続ける遙・・・。


これって、孝之じゃなくてむしろ遙のほうが俺だったんじゃないか・・・と思います。
遙に失礼かも知れないですが。卒業し、就職してから、時間が止まったように
感じられていた僕、自分が生きているのか死んでいるのかもわからなかった・・・。
でも、今はそれなりに、自分自身に立ち向かおうとはしている(つもり)。


3年の間に筋力が衰え、不自由な体でも現実に対応しようと鬼気迫る形相で
リハビリを行う遙。ここら辺の気持ちがわかるようになってきました。


でも遙は僕だったから、僕は遙のことを好きにはならなかったのかなあと
思います。自分のことを好きにはなりませんよね。冷たいかもしれないけど、
遙のことはわかるようにはなったけど、やっぱりそれでは好きにはならない。
遙が孝之や水月に憧れ続けるように、僕も孝之や水月に憧れているから・・・。


僕は、3年前は、自分が孝之であると思い込み、水月との幸せを妄想した。でも、
僕は孝之ではなく遙だった。僕からすれば、遙が憧れの孝之と結ばれるという
ことは、男の立場から考えてありえません。逆もまたしかりでしょう。
今回僕が選んだ水月エンドは、
逆に言えば遙(≒僕)にとってのバッドエンドだったわけです。僕は僕の
意思で、もう一度バッドエンドを選びなおしたという気がしました。



「彼女が同情で与えられた道なんて喜ぶわけが無い」
「彼女に必要なのは・・・ありのままの現実を見せることよ。嘘偽りの無い現実を」